2016年5月12日木曜日

基礎用語集

1.テストについて

High Range IQ Test : 高知能者向けに作られた実験的なIQテスト。

spatial : 図形系のテスト。

nimerical : 数列系のテスト。

verbal : 言語系のテスト。

σ(シグマ) : 標準偏差のこと。S.D.(standard deviation)とも言う。ハイレンジテストのIQ値表示では15・16がよく使われる。

submission : 提出のこと。

raw score : 正解数のこと。

norm : 正解数をIQ値に換算する表。

ceiling : テストの測定限界値。



2.主要な団体

World Intelligence Network : 2001年1月1日にEvangelos Katsioulisによって高度な認知能力を持つ人々の交流を支援するために創設された団体。WINとも略称される。

World Genius Directory : Jason Bettsによって創設・運営されている高知能者のランキングサイト。統一的なランキングサイトの元祖でもある。WAIS等の心理検査とハイレンジテストのスコアをそれぞれ一つずつ申請できる。

Genius of the Year : 2013年にWGDの創設者であるJason Bettsによって設けられた賞。年一度、WGDメンバーの投票によってアジア・ヨーロッパ・アメリカから一人ずつ選出される。受賞者にはトロフィーが贈られる。詳細はWGDのAwardsの項参照。

World Famous IQ Scores : Ivan Ivec氏によって創設・運営されているハイレンジテストのテスト別スコアランキングサイト。

World Highest IQ Scores : Mislav Predavec氏によって創設・運営されているハイレンジテストのテスト別スコアランキングサイト。

2016年5月7日土曜日

ハイレンジIQテストとは

ハイレンジIQテストとはその名の通り、極端に高いIQ値を測定するために作成された知能テストのことを言います(実はこの言い方は正確ではありません。最後に触れます)。日本ではまだ馴染みが無く、日本語で紹介されている例も殆ど無いので、この記事ではハイレンジIQテストがどのようなものか、受験方法や実際のテストなどを大雑把に紹介しようと思います。



1.特徴

ハイレンジテストの大きな特徴は

・インターネット上に問題が公開されている。
・時間制限が無い。

という2点です。
1点目については、Paul Cooijmansなどの例外はありますが、採点者が締め切らない限りネット上に公開されています。誰にでも受験資格があるわけです。
2点目の時間制限が無い、という点は不思議に思われるかもしれません。時間を掛ければ高得点を取れるのではないか、と。一度解いてみれば分かりますが、テストの難易度は高く、誰でも高得点を出せるものではありません。問題が公開されてから20年近く経っても満点が出ていないテストもあります。百聞は一見に如かず、ということで代表的なテストをみてみましょう。


Titan Test

製作者 : Ronald Hoeflin
公開 : 1990/4 Omni Magazine
問題数 : 48
測定レンジ : IQ120-190+(標準偏差16) Norm(Normとはスコア換算表のこと)

コメント : ヒストグラムを見て下さい(normのページの中段に載っています)。これは1990年4月1日から9月1日までに受験した391人のスコア分布ですが、ネイティブにとってもかなり厳しいテストであることがお分かりいただけると思います。世界記録はRick Rosner 48/48。


Logima Strictica 36

製作者 : Robert Lato
公開 : 1999/4 Thoth(Glia Societyの会報)
問題数 : 36
測定レンジ : IQ120-190+ (標準偏差15) Norm

コメント : 現在の空間図形系テストの基準を作ったテスト。ハイレンジクラスタ間でも評判が高い。世界記録はMisalv Predavec  29/36。
 

Logicaus Strictimanus 24

製作者 : Robert Lato
公開 : 2000
問題数 : 24
測定レンジ : IQ120-190+ (標準偏差15) Norm

コメント : LS36の続編。こちらもMisalv Predavecが世界記録を持っています(17.5/24)。


SLSE1】 

製作者 : Jonathan Wai
公開 : 2002
問題数 : 50
測定レンジ : このテストの最新のNormは消えてしまっているので(WaybackMachineにアーカイブがあります)、おそらくこっちのNormが使われていると思われます。このテストのスコアでランキングサイトや高知能団体に入会を申請する場合、管理者に問い合わせてください。

コメント : 数列系では最も受験者が多いテスト。スコアが伸びにくいテストとして知られます。世界記録はMislav PredavecとWen-Chin Suiの41/50。


SLSE2

製作者 : Jonathan Wai
公開 : 2004
問題数 : 30
測定レンジ : IQ128.8-200(sd16) Norm

コメント : SLSE1よりもさらに難しくデザインされたテスト。数列系では最高難度とも評されます。世界記録はWen-Chin Sui 22/30。


☆補足 世界記録についての参考資料

World Famous IQ Scores
World Highest IQ Scores
Mega Test IQ - Hmolpedia  Example Test Takersの項参照。
Genius of the Year 2013-Rick Rosner


2.受験方法


☆流れ

上記の各サイトに説明がありますが、殆どの場合

①好きなだけ時間をかけて解く。
②受験料をペイパルで払い、メールで答案を提出する。
③スコアリポートが返ってくる。
④正答数をIQ値に換算する表であるNormを参照し、自分のIQ値が分かる。

といった流れになります。ペイパルのアカウントを持っていない方は取得しておくとよいでしょう。また、採点者によっては不正防止の観点から、パスポートなどのコピーの提出が求められます。


☆図形系テストの受験方法

図形系のテストは描画ソフトを使って解答を作成するか、手書きの答案をスキャンしてデータ化して答案をメールで送れる形式にします。USBがあればコンビニのマルチプリンタでもスキャンデータを取り込めます。


☆受験可能回数

テストによって受験可能回数が違うので表にしました。

・1回まで
Paul Cooijmans
Jason Betts

・制限なし
Jonathan Wai

・2回まで
その他殆どのテスト

後のエントリでも触れますがハイレンジテストのスコアで高知能団体に入会する場合、2回目までのスコアを認める、という団体がほとんどです。



3.有名な作問者のサイト

先ほどいくつかテストを紹介しましたが、他にも有名なサイトがたくさんあるのでいくつか紹介します。


・Ivan Ivec (http://www.ivec.ultimaiq.net/)

Ultima Societyなどの創設者でもあるIvec氏によるサイト。各テスト受験2回までがオフィシャルスコアとなります。3回まで受験可能ですがテストによって異なります。複数の解を提出できる(ただし解説をしなければいけない)のも特徴です。詳しくはtest taking infomationを参照ください。



・Jason Betts (http://psiq.org/lux/)

有名な超能力者(!)でありWorld Genius Directoryの創設者でもあるBetts氏によるサイト。言語系のテストが多め。各テスト1回しか受験できません。



・Paul Laurent (http://webs.ono.com/iqtests/)

スペインのLaurent氏によるサイト。無暗に測定限界を高くするのではなく、正確に測定しようという姿勢が感じられます。テストによって受験可能な回数が違いますので確認の上受験を。

※2016/8/21追記 IQテストサイト・IQnaviのメッセージボードへの書き込みによると、あと1・2ヶ月でサイトを畳んでしまうようです。現在取り組んでおられる方は早めに提出したほうが良いでしょう。

※2016/10/09追記 9/30からサイトに繋がらなくなっています。予告なども私が把握している範囲では無く、上記のメッセージボードへの書き込み以上の情報は無かったのでそういう情報があるという程度にしか捉えていなかったのですが、今日まで動きが無いのでひとまず記録しておきます。



・Nikolaos Soulios (http://highrangeiqtests.com/)

ここを見ている方なら知っているであろうFIQUREの作問者によるサイト。比較的最近公開されたテストですが受験者数は多く、人気がうかがえます。各テスト2回まで受験可能。

 ※2016/5/22追記 現在、Nikoloas氏のサイトは繋がらなくなっています。Verbal系のテストはTheodosis氏のサイトに移っていますがその他は終了したようです。FIQUREはまだ受験可能ですが、管理から外れたことを5/17日にFacebookに書き込んでいました。

※2016/6/26追記 Theodosis氏のサイトからVerbal系のテストが無くなっていました。同氏の主宰するIIC2016のランキング特典からNikolaos氏の名前が消えてしまっているので完全に終了したようです。

※2016/7/10追記 METIQの管理人である幸田氏とツイッターでやり取りをする機会があり、そこでNikolaos氏についての話題が出ました。以下がそのときのスクリーンショットです(関係の無い部分は編集しています。幸田氏からはやり取りを載せるにあたり許可をいただいています)。


訂正:✕「進めて」→〇「勧めて」

Nikolaos氏がライフスタイルの変化によって採点が出来なくなったためサイトをたたみ、その後幸田氏が移管を提案→Theodosis氏とNikolaos氏の間で連携が上手くいかず終了、というのが大体の経緯のようです。幸田氏は今もメールのやり取りをしているそうで、今後もしかすると別の場所で復活するかもしれません。

※2017/2/10追記 サイトは復活していませんが、採点業務を再開した模様です。私もMachを提出しました。



 4.ハイレンジテストの問題点

最後にハイレンジテストの問題点について簡単に触れて終わります。
 
1. まず、これらのテストの多くは知能テストの専門家でない個人によって作成されています。 あくまで、思考力さえあれば解くことのできると作問者が考えた問題群をIQテストとしてパッケージングしているだけなのです。従って、WAISやCFITなどの心理検査によって測られるIQとは別物と考えるべきです。高度な思考力を測っているとは思われますが、科学的議論を経たものではないのです。

2. また上記のサイトを見て頂ければわかりますが、受験者数が多いといわれるテストでもせいぜい数百人程度しか提出者がいません。これは

①それほど解けていない人は提出しない。
②そもそもそんなに知られていない。

のが要因かと思われます。サンプル数が不足しているので単純にIQ値としての信頼性も高くありません。



上記の理由により今のところIQの測定を目的とした受験はお勧めできませんが、問題自体はよく練られていて、また世界中の猛者たちとスコアを競う面白さもあります。問題を見て興味が湧いた方は是非チャレンジしてみてください。